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| -- 2005年度の造りを終えて -- | |||||||||||
| 杉錦の酒造りについて | |||||||||||
清酒は既に長い間、凋落傾向に歯止めが掛からず、低迷から脱する事ができません。 原因はいろいろ議論のあるところですが、やはり単純に考えれぱ多くの人たちが清酒は飲んでも美味しくない、魅力がないと感じているからに違いありません。 けれども日本の長い歴史と伝統の中で育ってきた民族の酒である清酒には必ず、自ずと備えている、味わいと、美味しさが可能性として宿っているに違いありません。 現在の清酒が業界の長年の努カにもかかわらず、なかなか元気にならないとしたら自分たちの造っている清酒の多くがまだ清酒の持つ本来の味わいを充分に実現できていないのではないかと考え、酒造りの方法を探っています。 その視点から弊杜が最近、最もカを入れているのが山廃と生もと造りの酒です。吟醸酒は近代の酒として、昔の酒にはなかった吟醸香と爽やかで飲みやすい酒質によって、清酒の可能性の一つを実現しました。良い吟醸酒を口にしたことのある消費者は、日本人全体の中ではまだまだ小数派でしょうから、良い吟醸酒を造り、紹介していく事で清酒のファンはまだまだ開拓できるはずです。 しかし、良い吟醸酒はどうしても価格が高くなり、蔵元にとっては手間がかかり、コスト高の割には粗利益が少なく、たくさん造れないという欠点があります。山廃、生もとの酒は酒母造りには手がかかりますが、麹は吟醸麹にする必要もなく、原料米は高精白にしなくてもいいので、普段飲む酒として価格が手頃で、飲みあきしない味わいのある酒が造れると思います。弊杜は山廃、生もとの造りはまだ3年の経験しかありませんが、今後最も力をいれていきたいと考えています。 カプロン酸エチルの高い酵母は今年より全廃し、静岡酵母で吟醸酒を造っています。 吟醸酒、純米酒は原則、活牲炭は全く使用しません。酒本来の持ち味を生かしたいと思います。 清酒の他、味琳、焼酎も造っています。焼酎は現在、試験製造、限定試験販売中です。 |
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| 生もと 山廃仕込みについて | |||||||||||
昨年の末に静岡の山田錦60%の純米を生もとで仕込み、原酒の中取りを出荷しましたところクセのない酒質で、 静岡吟醸酵母のHD―1の香りもほどよく出て好評でした。同じく協会7号と玉栄の組み合わせの山廃純米も+6程度まで良く発酵しクセのない酒になりました。山廃仕込みを始めた頃は特に酒母ではヨ―グルトのようなジアセチル臭や酸敗したようなクセの強い臭いがかなりしたのですが不思議とそういう臭いが少なくなってしまいましたが、理由は解りません。環境中の菌が変化してくるのでしょうか。次期の酒造りではクセのない純米吟醸に挑戦してみようと思います。 一方昨年の造りでかなり糖分を残して発酵が止まり、酸も多くジアセチル臭がして失敗作だと思っていた純米酒は秋以降、熟成が進むと深い味わいとなりきれいな吟醸造りではできないコクのある酒になったと思います。この辺が生もと系酒母の造りのおもしろいところで今度は酵母無添加の山廃純米酒をやって見るつもりです。 なんとか山廃や生もと仕込みの酒もできるようになったのですが、これらの酒母では不可欠という事になっている亜硝酸反応は出たり出なかったり安定しません。 ただ亜硝酸反応が出なかった酒母でも優良酵母をたくさん添加するせいか発酵はまずは順調です。一方亜硝酸がしっかり出て発酵も旺盛だった酒母を用い、踊りもしっかり取ったのに後半の切れが悪くなるモロミもあります。その辺りをしっかり制御できるように更に経験を積みたいと思います。 今年は地元のグル―プが持ちこんだ山田錦の90%精白米を使った山廃純米も一本仕込みました。まだ壜詰めしてありませんが酸が2.4ほどで日本酒度は+2で締まりのある味です。この酒はほぼ明治初期の造りと同じ原料を使った事になり秋以降どんな味になるか見ものです。 平成16年5月現在販売している山廃 生もとの酒は2種類です。
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| 生もと仕込みへの挑戦(平成17年12月15日の話) | |||||||||||
今年も本醸造から始めて大吟醸、純米吟醸、純米酒、特別本醸造と進め年内予定の14本を仕込み終わりました。12月初旬より大吟醸の上槽を開始し順次壜詰めにかかります。吟醸系の酒については特に壜詰め、火入れまでの期間を短めにする事が高品質の維持に不可欠だと考え、直ぐに壜詰めをおこなっていく計画です。 山廃酒母の経験をある程度積んできたので、今回は「もとすり」を行う生もとに挑戦してみました。経過は順調でやや辛口で酸味があり、山廃的なクセは少ない酒になると思います。静岡酵母HD-1は静岡型の吟醸酒を造る時は麹のハゼ廻りを少なくしないと酸が多くなるのが難点なのですが、逆にハゼを廻す事によりしっかりとした酸味とほのかな吟醸香のある酒にしたいと考えています。
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| 2005年度 酒造りの開始(平成17年10月1日の話) | |||||||||||
9月8日に今期最初の蒸し米を麹室に引き込み、酒造りを始めました。 今年の目標としましては、 @純米吟醸、吟醸酒を味のしまったしっかりした状態で壜詰めまで完了する事。 (例年の事ですが今年は更にその様な意識を持って行いたいと思います) A山廃酒母の酒について昨年までの経験を生かし発酵力の強いもろみへと確実に導けるようにする。 B生もとに挑戦する。 以上、3点を主な課題にして酒造りに挑みます。 |
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| 清酒の“オリ”について | |||||||||||
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A. 酒に乳酸菌が繁殖してその菌体が壜の底に沈殿した場合です。この場合は酒の風味が劣化して酸味が多くなります。生酒ではこのリスクが多くなります。清酒に繁殖した乳酸菌では食中毒の危険はありません。
B. 清酒中に溶けこんでいる蛋白質が変性して生じた“白ボケ”が凝縮して沈降した“オリ”があります。この“オリ”が清酒に発生する事情は上記の二つより少し複雑ですので詳しく説明いたします。
上記のように“白ボケ”や“オリ”の発生を防ぐためには二回火入れで壜詰めしたほうがいいのですが、一回火入れの酒のほうが酒の持って生まれた風味や味わいをより豊かに残せるため弊社では一回火入れの壜貯蔵を採用しています。 |
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| -- 2004年度の造りを終えて -- | |||||||||||
| 生酒と一回火入れ酒について | |||||||||||
生酒は特別な商品としてのイメージが強く需要がありますが、実際には生酒の品質が火入れ酒を上回るのは、良く管理しても一ヶ月程度のようです。その後は香りは吟醸香より生老香が強くなり、味はだれて締まりがなくなります。しぼりたての良い風味を上手に残して熟成にも適すようにするには、活性炭は使わず素ろ過をして早めに一回しっかり火入れをするのがベストだと思います。 一回火入れの吟醸酒は、冷蔵庫で保存すれば何年でも賞味は可能だと思います。(但しカプロン酸エチルの強い酒を除く) 製造者としては生酒で出荷する方が火入れの手間がないのですが、今年からお客様の口に入る時の品質を考えて、高級酒は原則火入れ出荷致します。 |
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| 山廃純米酒、二年目の挑戦 | |||||||||||
山廃純米は昨年の造りに、初挑戦で一本仕込みました。その酒が幸いにも雑誌[ダンチュウ]に取り上げてもらい、高く評価して頂きましたがまだまだ勉強中です。 今年は3本の山廃酒母を立ててみました。仕込み時の温度管理がおおまかでも、まず間違いなく出来上がる速醸酒母とは異なり、山廃酒母では初期にしっかり低温を維持しないと少し野生酵母が侵入して来るようです。 私の蔵も参加している「蔵元交流会」で昨年の夏に講義をされた永谷先生によれば、先生の若い頃の灘では野生酵母の作る酢酸エチル系の香りが「ぷ〜ン」として、酸味のしっかりした山廃の酒が良しとされていたそうです。「今の時代も野生酵母の個性の出たワイルドな酒を造ってみたら面白いのではないか」と、提案して頂きました。 実際に山廃を何本かやってみたところ、図らずもそんな風味を少し感じさせる酒も何本か出来ました。おそらく、仕込み時の温度が少し高くて亜硝酸の消失が早かった為と思われます。 杉井酒造の山廃酒母は冷蔵庫の中で立てますが、冷蔵庫を使わなかった時代は今より気候が寒冷だったとしても、温度管理は難しく、永谷先生の言われた様な酒が多かったのも頷けるかなと思いました。 今年出荷します「山廃純米酒」は昨年の酒より味ののったタイプになりました。一回火入れで壜詰めしており、まだ新酒独特の生香や麹の風味が強いので熟成が進んでいた前回の酒とは雰囲気が異なります。山廃の酒としは、もう少し熟成した方が飲み頃だと思います。日本酒度は高くありませんが、山廃の酸味とコクがありますので甘味と辛みのバランスはよいと思います。 昨年の酵母は協会7号でしたが、今年は静岡NEW−5を試してみました。どちらが山廃の酒に適しているのかは、熟成が進まないと判断ができなと感じています。 前にも言ったのですが、山廃の酒を造ってみて洗練された吟醸酒と比べると、少しクセがある酒になり易いのですが、独特の力強さと飲み飽きしない酸味が有り、低迷ぎみの清酒業界を復活させる次の商材として大いに可能性を感じています。 今後、「生もと」を含め、経験を積んで技を磨いていきたいと思います。 |
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| 全国新酒鑑評会(2004年度) | |||||||||||
広島で行われました全国新酒鑑評会で「金賞」を受賞することが出来ました。これで3年連続の金賞受賞、入賞は4年連続となりました。 現在の全国鑑評会入賞酒の主流を占めるカプリン酸エチルの香り主体の酵母で造った吟醸酒には批判もあるのですが、それでも金賞受賞を目指して吟醸酒を造る事は吟醸造りの技を磨き、蔵人全体のレベルを上げる効果があると考えて取り組んできました。特に当ったり、外れたりではなく安定した酒造りができるようになる為には鑑評会への出品はいい訓練になると考えています。 全国鑑評会での審査は昨年よりカプロン酸エチルの高濃度の酒ばかり入賞する傾向を是正する為、前もってカプロン酸エチルの濃度を測定し、その濃度別に酒を並べてきき酒するようになりました。今後は入賞酒の香りの傾向が変わっていく事が予測されます。杉錦では今年もM310という酵母で出品酒のモロミを立てましたが、酵母の配布先である明利酒造の高橋先生も最近の全国鑑評会の傾向に配慮さらてか例年よりカプロン酸エチルの生産量が低い酵母を配布された様です。 |
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| 静岡県清酒鑑評会(2004年度) | |||||||||||
審査の4日前に「杜氏持ち寄り会」といって全蔵ではないのですが、県内の蔵元から杜氏さん達が出品予定の酒を持ち寄り審査をして、本番の鑑評会の参考にする会がありました。この時は吟醸部門に出した酒が15番目位、蔵元別に見ても7番目位だったのですが、同じ酒が本番では2位の成績でした。逆に3年前は「杜氏持ち寄り会」で最高点だった酒が本番の審査では入賞外(19位)という事もありました。 静岡県の鑑評会は、出品酒が全体として高いレベルで揃っているので、紙一重の僅差の戦いになっているのだと思います。またカプロン酸エチルの香りが多い酒を評価しませんので(4ppm以上は入賞が困難)出品する側のセンスと、評価する審査員のセンスの微妙なバランスの上に順位が決まってくるのだと思います。鑑評会の結果というのは蔵元や杜氏さんにとって気になるものですし、日本酒ファンや酒業界の方も注目して下さる様になり、多くの注視の下で真剣勝負をするというのは業界全体の酒質の向上にとって大変有効だと思います。 一方、これだけ全体のレベルが揃ってくると、鑑評会出品酒の僅かな酒質の差より、実際に壜詰めされてお客様に届く酒の品質管理と酒質のセンスが本当の競技の場という事になります。 |
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| -- 2003年度の造りを終えて -- | |||||||||||
| 山廃純米酒に挑戦 | |||||||||||
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全国的に、山廃酒母や生もとで造った酒が少しずつ増えているようです。酒造りの最初の工程として、酵母を増殖させる酒母(もと)は現在ほとんど速醸酒母といって仕込みの時、乳酸を添加することにより、液を酸性にして雑菌の繁殖を抑えておき、その間に同じく添加した酵母を増殖させます。 - 山廃酒母に挑戦する理由 - 酒造りの教科書には、現在はあまり使われなくなっているにもかかわらず、山廃酒母の製造方法の解説が詳しく載っているのが常です。 - 山廃酒母を造ってみました - 実際の山廃酒母造りですが、昨年練習のために酒造りの終わった5月に一本造ってみました。この酒母は試作している米焼酎のもろみに使ってみましたが、発酵は良好でした。 - 山廃酒母を使った純米酒のモロミ - この山廃酒母を使って、55%精白の滋賀玉栄(たまさかえ)という米で、純米酒を仕込みました。山廃酒母で育った酵母菌は、細胞膜を作っているリン脂質が速醸酒母と異なり、もろみの後半で高いアルコールに耐えてよく発酵するといいます。 |
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| - 山廃純米を製品にしました -
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| 静岡県清酒鑑評会 | |||||||||||
今年の静岡県清酒鑑評会は、昨年と同じ審査方針と方法で行われました。審査員を努められた松崎晴男さんによりますと、上位4社の酒で競った決審は、大変な接戦でなかなか優劣をつける事ができなかったとの事でした。 静岡県の清酒鑑評会は、前に説明しましたように9号系の酵母の酒で競うので、入賞酒のカプロン酸エチルは多くても3PPM代の後半で、香りが高ければ上位入賞というわけにいかないのが、出品する側からみて難しいところです。一般公開では順位別に酒が並んでいますが、そこできき酒すると、先入観もあるのかもしれませんが、上位4社のなかでもトップの忠正は、カプロン酸エチルではない含み香が特に豊かですばらしい酒だと思いました。杉錦は吟醸の部で千寿と同点の5位入賞、純米の部で4位入賞することができました。 昨年はカプロン酸エチルの高いM310の酒を、10%ブレンドして入賞を逃したので、今年は静岡酵母のHD−1単独の酒で臨みました。純米の部は同じく、静岡NEW−5とHD−1のブレンドで出品しました。 種麹には、昨年と同じく樋口HiGという、グルコアミラーゼを高生産する菌を使いました。これを使うと平均値で、グルコアミラーゼが200単位、αアミラーゼが400単位と、極めてツキハゼ型の麹ができます。 今年は、この麹とHD−1酵母で静岡県の上位入賞、またM310酵母と組み合わせて名古屋国税局鑑評会、吟醸の部2位入賞。全国鑑評会で金賞の成績を上げる事ができたので、この麹はまずまず合格点だとは思います。しかし、M310酵母を使った酒でも全国鑑評会のきき酒にいきますと、さらに深い感じの香りのする酒がありました。樋口HiGのような特殊な菌を使わなくても、素晴らしい酒を造っている杜氏さんがいらっしゃいますので、麹つくりはまだまだ勉強していきたいと思います。 |
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| 静岡山田錦で純米吟醸に挑戦 | |||||||||||
全国的に、山田錦を各地で栽培するようになっています。静岡県JA大井川にも、焼津地域酒米研究会という組織が数年前にできました。会員農家の方は現在10名で、今年の作付けは山田錦935a、五百万石624a、また昨年の集荷は山田錦531俵 五百万石425俵でした。できた酒米は、静岡県内約10の蔵元で酒になっています。 田植え、夏の田んぼの見学、稲刈り、反省会等の農家と蔵元の交流会をJAが設定してくださり作付面積も年々増加傾向です。 私の蔵では、今年初めて静岡山田錦を50%精白した純米吟醸を、3本(700kg)仕込んでみました。 実は前年、造りの後半になって、ある取引業者から兵庫の山田錦が余っていて安く買えるというお話を頂き、試しに買ってみました。しかし、届いた50%精白の白米は割れが多い物でした。それでも気をとりなおして、造りの最後に手を抜かず、しっかりした仕込みをしようと造りに臨みました。モロミの経過は順調でしたが、一番最後にやや切れが悪くなり、酒には少しオリのクセがでました。この時の米と酒の品質の関連は、はっきりしませんが、安物買いにはリスクが伴うと反省しました。 静岡の山田錦は、兵庫の山田錦とくらべ価格的にはそう安いわけではありません。しかし、いろいろな業者を渡ってくる米とくらべれば、安心感があります。 今年の造りの静岡山田錦3本のモロミはいずれも順調で静岡型の味のしまった純米吟醸になりました。2004年の6月現在蔵元から出荷しているのは、この静岡山田錦の純米吟醸です。 |
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| 全国新酒鑑評会 | |||||||||||
今年も5月27日に、広島の全国新酒鑑評会の一般公開へ行ってきました。前にも書いたとおり、全国新酒鑑評会で金賞を受賞する酒の大多数が、カプロン酸エチルという香りの成分が非常に強いため、華やかですが欠点として飲み飽きしやすく、熟成すると劣化して、嫌な風味がでてくるという性質をもっています。この点の反省から、今年は審査方法が少し変わり、出品酒は予め行われる香りの化学分析で、カプロン酸エチルの濃度で3区分に分け、それぞれの区分別の審査をおこなう事になりました。実際の区分分けのボーダーラインは公表されていません。 私は150銘柄くらいしか、きき酒していないのですが、今年この審査方法の変更によって、従来と較べカプロン酸エチル主体の酒の出品が減り、9号系の酵母の出品数が増えた様子はないです。金賞の酒は、昨年までと同じくカプロン酸エチル主体の酒が多かったです。その中で9号系の酵母と思われる酒で金賞、あるいは入賞の酒も散見され、今後少しずつ傾向が変わってくる事は予想できます。 なお杉錦では、このカプロン酸エチル主体の酒は斗壜取りした原酒を壜火入れして、500mlで360本ほど鑑評会出品酒として、限定出荷しました。残りは全てブレンドに使いました。ブレンド比率は、大吟醸で3%程度とし大半は特別本醸造へ混ぜてしまいました。昨年の市販大吟醸は、カプロン酸エチルの酒が35%程度ブレンドしてありましたが、今年はHD−1主体で、ほとんどカプロン酸エチルの風味は感じないと思います。 |
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| -- 2002年度の造りを終えて -- | |||||||||||
| 鑑評会の話 (全国鑑評会について) | |||||||||||
全国新酒鑑評会で 金賞 受賞しました。 ![]() 酒類総合研究所主催の、「平成14酒造年度全国新酒鑑評会」の結果が、5月下旬に発表になりました。昨年の入賞にひき続き今年は、[金賞] を受賞する事ができました。 この全国新酒鑑評会は、日本酒のコンク―ルの中では最も権威のあるもので、金賞の受賞はたいへん名誉な事とされています。全国は清酒の醸造をしている蔵は、1,500場ほどありますが、今年はその内1,065場が出品し、525場が入賞、入賞の内286場が金賞になりました。金賞率は、26.8%で数字の上ではそう狭き門には感じられないのですが、蔵元としては毎年金賞を取り続けるのは、なかなか難しい事です。 金賞を取れる酒を造るという事のなかに、米洗いから蒸し、麹作り、もろみ管理、搾り、火入れまで酒造りの基本作業を全て合格点でこなす事が必要ですから、金賞を目指す事により、その蔵の酒造技術が向上すると言えます。 今年も広島の一般公開へきき酒に行ってきましたが、開場の10時には、数百メ―トルの長蛇の列ができていて、この鑑評会にかける酒造関係者の熱意と関心の高さを感じました。
そういう訳ですから、蔵元としては金賞を取る事により、自社の製品の技術力を多いにアピ―ルでき、特に普段の宣伝広告費用を掛ける余裕のない小規模酒蔵にとっては、自社の商品の優秀さを知っていただく、大変有効な手段となります。 しかし、確かに金賞を取る蔵は、それなりの技を持っているという事になりますが、実際にお金を払ってお酒を買われる消費者の皆様は、金賞に惑わされず、冷静に商品を選ぶ事が大事だと思います。それは、この鑑評会に出して審査されるのは「出品酒」であって、実際にその蔵の大吟醸の市販酒として販売される商品とはいくらか異なるからです。出品酒はよくできた大吟醸のもろみから、特別な方法で搾り、特に気を使ってビン詰めして出品しますので当然高品質になる訳です。だからと言って、実際に商品として出荷する酒に手を抜いては、金賞を受賞といっても高品質の市販酒にはなりません。 また、現在の金賞受賞酒の主流を占めるカプロン酸エチルの強い酒は、審査で味わって吐き出すにはいい酒だが、実際に普段の食生活の中で飲むには飲みにくい酒、あるいは品質が劣化しやすい酒という批判もあります。その点について静岡県の蔵元は、実際に市販する酒も酒袋で搾り、火入れもびん火入れという手のかかる方法で高品質を維持すよう努めています。私の蔵もそうしています。出品酒は、金賞の取り易いカプロン酸エチルの強い酵母の酒で出しますが、市販の大吟醸は、穏やかな香りの静岡酵母を70%ブレンドして香りは抑えるようにしています。
以上のとおり、全国新酒鑑評会の金賞には、最近いい意味でだいぶ冷めた見方も少なくない様ですが、それは流通、消費者も含めた酒造業界にとっては、むしろ健全な事だと思います。けれども自分たちで酒を造るようになって三年めの今年、やっと金賞が取れ、まずは目標の一つがクリアできて良かったと感じています。なにより一生懸命酒を造っている、若い蔵人には目に見える形で結果が出ることが、自信になりますし、会社全体の志気も上がります。三年酒を造ってみて、だいぶ造りの要点はつかめたとは思いますが、まだまだ品質的に改善したい所は沢山ありますので、金賞は一つの通過点として、蔵全体の酒のレベルをさらに上げるよう努めてきたいと思います。今後とも、「杉錦」にさらなるご愛顧をいただきます様に、よろしくお願い申し上げます。 |
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| 鑑評会の話 (静岡県鑑評会について) | |||||||||||
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特徴1審査方法:
特徴2審査方針:
ここで吟醸酒の命である香りについてお話します。酒の香りは、たいへん多くの成分から構成されていますが、吟醸香といわれる香りの成分は主に、2種類の成分が主役といえます。
鑑評会の解説をながなが書いてしまいましたが、ここから杉錦の鑑評会出品酒の話を致します。 |
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