芋焼酎 才助 こだわりの焼酎造り
原料芋
原料の芋は静岡県産に限定しています。現在は静岡県東部地区のものが主体です。いずれも無農薬に近い栽培をしています。価格は1kgにつき130円程で九州地区の60円と比べかなり割高です。冷蔵や冷凍のものは使いません。
【一般製法:九州地方では一般に「こがねせんがん」が広く使われています。「こがねせんがん」はもともと澱粉含量が多い事から、焼酎にも使用されるようになったようです。原料芋の醸造適正については品種の特性よりも鮮度や傷み虫食いの情況など作柄の良否による部分が大きいようです。】
麹
酒造用加工米や県産の酒米の検査落ちしたものを使って清酒と同じ黄麹菌による麹を造ります。クエン酸は生産しないので、乳酸添加による速醸酒母をつくります。製造方法は清酒の場合と全く同じです。
【一般製法:白麹菌あるいは黒麹菌で造ります。これらの菌はクエン酸を多量に生産するため、その酸を利用して発酵初期の雑菌を抑えます。ドラム式といわれる回転式の自動製造装置で造られます。】
酵母
静岡NEW-5を使います。30度以上の高温耐性がないので20度以下で発酵させます。黄麹 と清酒酵母の組み合わせはクセがなく原料の芋の風味を生かす様です。
【一般製法:焼酎酵母は30度の高温とクエン酸耐性が強く、アルコール収得量が高い性質をもっています。】
酒母(一次もろみ)
米麹・蒸し米・水・乳酸をもちいて、12日程かけて清酒と同じ酒母を育てます。
【一般製法:焼酎の酒母(一次もろみ)は麹と水だけで仕込みます。麹に由来するクエン酸で雑菌を抑えるため、掛米を用いずに全量を麹としてphを低く抑えます。育成日数は3日から8日ほどです。】
原料芋洗い
機械で洗った後、手作業で両端と痛んだ部分を取り除きます。病根部、線虫や黒斑病等に侵され部分は、取り除かないと強い苦味が生じ酒質を著しく損ないます。
この作業は芋焼酎の製造上で大変重要な工程ですが、機械化が難しく手作業で行なうしかありません。
蒸し
清酒と同じく甑で1時間蒸します。
破砕
蒸し上がった芋は破砕機あるいは手作業で細かく破砕します。
仕込み及び発酵温度
清酒より高い20度程度で発酵させ、後半は10度程度まで下げます。酸度は3程度です。黄麹は酸度が高いと急激に働きが弱くなます。
【一般製法:発酵温度は最高で32度程度、8日程で発酵を終えるのが一般的です。酸度は7程度になりますが、白麹、黒麹は高い酸性の下でも働き焼酎酵母も高温のモロミでよく発酵します。】
蒸留
蒸留は酒質を決める重要な工程です。「才助」では蒸留に先立ち清酒のように船を使ってモロミを上槽して液体にします。この液体を常圧で蛇管加熱で蒸留します。 上槽の手間が掛かり、また粕にアルコールが残留するため歩留まりが悪くなります。しかしながら、モロミの焦げつきがなく油成分も少なく上質な原酒が得られます。
【一般製法:芋焼酎では常圧蒸留が一般的です。モロミに直接蒸気を噴きこむ事により加熱します。】
2001年 初期の蒸留機(直火による物)
一度に100リットルの蒸留が限界。
当初は米焼酎のみの試験製造でした。
2005年 蒸留機改良(蒸気の通るコイルで加熱する)
一度に400リットルの蒸留が可能になりました。
2007年 新しい蒸留機を導入 現在の蒸留機
酒質
黄麹と清酒酵母による低温発酵と液体蒸留により軽い酒質になります。特に黄麹は風味が淡白なため芋自体の香りを生かした酒質になります。
【一般製法:芋焼酎の独特の風味には白麹、あるいは黒麹由来の香味も大きく関与しているようです。】
オリの発生について
焼酎類、特に芋焼酎では原料由来の油性成分が時間の経過と冬季の低温等により、凝縮沈殿して”オリ”となる事があります。
”オリ”の正体は「高級脂肪酸エステル」等の油性成分で時間の経過とともに凝縮して沈殿あるいは浮遊します。加温(30度程度)で再び溶解して透明になります。これら油性成分は焼酎の風味の重要な構成成分でもあるため過度の除去は避けております。「才助」では出荷に際して簡単な綿フィルタ―での濾過しかおこなっておりません。