純米大吟醸を搾りました。
今年の40%精米山田錦を使った純米大吟醸をしぼりました。速醸酒母に静岡酵母HD-1を使った、鑑評会出品用のモロミです。数年前からアルコール添加するのをやめて全国鑑評会もこの純米酒を出品しています。
40%精米の純米大吟醸の搾りでは、いわゆる「しずく取り」をやっています。「しずく取り」あるいは「吊り」といわれる方法では、モロミを酒袋に入れた後、舟の中に積み重ねないで口を縛ってタンクの中に吊り下げます。こうして自然にしたたり落ちる酒は圧力をかけて搾った酒より味わいが軽くキレイで香りもよくなります。
採取した順番で味わいも微妙に異なるので、高いレベルで競いあう鑑評会ではこの中でも一番よい区分の酒を出品します。吊りはとても手がかかって大変な作業ですが、この時はシルバー人材センターのパートのみなさんにも手伝っていただいて半日かかりでこの作業をしています。
しずく取りの酒は通常は「斗瓶取り」といって18リットルのおおきなガラス瓶に採るのが一般的ですが、杉井酒造では1.8㍑瓶にとっています。
今年は昨年と打って変わって山田錦は溶けない年だと言われていたので、原料米はやや柔らかめに仕込ましたが、粕歩合58%と多めのの粕になりました。しかし昨年亡くなられた静岡酵母の生みの親、河村先生のマニュアルによる静岡大吟醸の造りでは粕歩合はこれくらいの数字が適当という事になると思います。
そういう点ではモロミ経過はほぼ順調でした。口に含むとHD-1酵母らしい良い含み香がありますが酸が多くなりモロミで1.7になってしまいました。日本酒度がゼロなので酸がこれくらいあったほうが味がしまっておいしいですが、静岡流の造りでは理想の酸度は1.3程度なので静岡県鑑評会の上位はこの酒では難しいかと思います。
ただし純米大吟醸としては、とてもおいしくできたと思いますので、上手にビン詰め火入れをして良い製品にしたいと思います。この新酒の出荷時期は決まっていませんが、4月か5月になるかと思います。