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今年の「きんの介」生酛中取り原酒

洗米浸漬風景浸漬 米モロミ面 きんのす介 今年も9月より冷蔵庫で酛をたて、10月よりモロミを仕込始めました。毎年酒造りにあたっては、より良い酒を造りたいと思っていろいろ考えます。問題は「良い酒」とはどんな酒かという点です。マーケットの多数のお客様の好む酒のタイプというのはあると思いますが、お客様の好みは様々です。自分が造ってみたいタイプの酒もあります。そして目標酒質を設定して、どのような酒造工程をたどればその酒質に到達するかを、予想して造るのですが、必ずしも思ったとうりにならないという事もあります。

 毎年造りの第1号モロミの新酒の原酒として発売している「きんの介」は2000年の発売当初は今とはかなり異なるタイプの酒でした。18年の間に「理想の酒」にたいする考えが変わり、いろいろな事を試しながら変わってきました。

 2000BYに杜氏として初めて酒を造りはじめてから数年は精米65%の本醸造酒で、米は全て10kgの限定給水(これは今でも変わっていません)麹は出来るだけツキハゼにして、モロミは袋吊りして吟醸型の酒を目指して造っていました。

 途中から、純米酒原酒にかわり、袋吊りはやめて搾りの「中取り」区分を詰めるようになりました。その他、麹歩合を少な目にしたり、麹菌のハゼ歩合(米粒に麹菌生える量)をいろいろ変えたり、いろんな事を試してみました。

 さらに生酛になり、精米歩合は70%で酸があり濃い味の純米原酒になりました。生酛にしてからは、年によっては野生酵母が入ってやや野趣に富んだ味わいの年もあったかと思います。この2年はしっかり味がありますが、落ち着いた味わいの辛口純米原酒だと思います。

 今年は例年より麹を造る時間を短めにした「若い麹」を使ってやや軽めの味わいを狙って造っています。使用した「生酛」は順調な経過をたどって出来上がったものでクセはなく、モロミは例年より酸が少ない経過です。

 麹があまり若めだとモロミの最後に醗酵が弱くなったりするリスクがあるのですが、例年よりややアルコールが低めで軟らかい味になるかと予想しています。ガッツン系の濃い味が好みのお客様にはやや物足りないかもしれませんが、生酛純米の原酒としてそれなりに生酛の厚みのある味にはなると思います。

 搾りは11月10日くらいを予定していて11月20日くらいにはビン詰め出荷になると思います。

投稿日時:2018年10月29日(月)│
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