2020年純米大吟醸仕込
今年も一月は純米大吟醸を仕込んでいます。大吟醸は日本酒の最高峰と見なされていて、実際、米洗い、麹造り、もろみ管理、搾りと酒造りに関する全ての工程を完成度高く行わないと高い山田錦を使っても理想的な酒質が実現できません。
杉井酒造では主力の製品は原料米をそれ程磨いていない純米酒ですが、酒造りの基礎力の鍛錬の場として大吟醸造りには全力で取り組んでいます。
大吟醸造りでは全国新酒鑑評会で金賞を受賞する事が優れた酒質の証しとされています。
それはそうなのですが、全国新酒鑑評会で金賞を取りやすい、”カプロン酸エチル高生産性酵母”を使用し、アルコール添加(本醸造規格)する酒は造らず、”静岡酵母”を使った純米規格で造っています。
酒は嗜好品としての面があるので、どちらが良いかは好みの問題もありますが、実際に食事の場面で楽しむのに静岡酵母の穏やかな香りと純米酒のコクのある酒質が一番おいしいと感じてこの規格にしています。
さて今年は原料の山田錦が硬く割れやすいという事が言われているようです。杉井酒造では今年、山田錦の購入先と精米工場を試験的に変えてみたので例年との比較が難しいのですが洗米時の割れは例年より目立ちました。仕込んで4日ですが米の溶けも例年よりゆっくりのようです。
酒造りではこのように原料米の性質が年により異なるのでそれに合わせて浸漬や麹造りを年により少し変える必要があります。そのために完全マニュアル化が困難でその対応力が杜氏の腕の見せ処といえます。
弊社のように大吟醸の仕込が少ないとぶっつけ本番に近いのですが、今年の麹はまずまずのレベルになったと思います。
もろみの醗酵が終わって搾るのは2月中旬になります。
投稿日時:2020年1月23日(木)│純米大吟醸