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ベルギーからの研修生

IMG-1175 1月の26日から8日間ほどベルギーからエバート ショープンさんという29歳の青年がやってきて麹造りと酒造りを勉強していきました。

 彼はアントワープで醸造所を借りて、Doef Beer というクラフトビールを造っているブリューマスターです。ゆくゆくは自分の醸造所を持とうと現在奮闘中です。

 昨年の10月にパリの サロン ド サケ に参加した時にブースにやってきたので「菩提酛」の話しをしたら興味を示してその場で「お前の蔵にインターンシップとして勉強にいきたい。僕はよく働くよ」と売り込みがあり本当にやってきました。

 話を聞いてみると、自分独自のビールのスタイルを模索するなかで麹をビールに使う事を考えていてサロン ド サケに日本から蔵元が参加しているのを聞きつけアントワープからパリまでやって来たそうです。その場で自分が試作した麹の写真を見せてくれました。

 私は全然知らなかったのですが、麹をビール醸造に使うというのは日本のクラフトビールでも既に製品化されているしヨーロッパでも試されているとの事です。麹は糖化力が強いのでビール醸造において麦汁の糖化を促進し残糖を減らす効果が期待できるとの事です。

 彼が日本に来てからいろいろ話を聞いてみると、麹を使う実際の効果もあるのでしょうが欧米の食に関わる人たちの間で麹や日本の醗酵食への関心が高まっている事が背景にあるようです。

 デンマークに世界一予約の取りにくいレストランといわれる「ノーマ」という有名店がありますが、今回彼がこのレストランのシェフが書いた「the Noma Guide to Fermentation」という厚い本を持ってきました。その本の第五章は「Koji」というタイトルで麹の歴史、米や大麦を使った実際の麹の作り方、その麹を使った 甘酒、乳酸発酵液、塩麹のような調味料の使いかたが詳しく写真つきで解説されています。日本の種麹は既にネットでで入手が可能のようです。

 

 彼が持参したdoef beerはフルーティーで軽い味わいでおいしいビールでした。彼はベルギーで麹を使ったビールを発売するのは実質的に僕のところ(DOEF  BREWERY)が一番になるだろうと意気込んでいましたが、日本の醗酵文化の一端がそんな風に海外まで影響を与え始めている事に感動しました。

 兎に角、サロン ド サケ の会場で出会った時点では杉井酒造についての情報は全くゼロなのにその場で来日を即決して実際に来てしまう行動力には驚きです。

 

 一週間ほどの滞在でしたが、従業員にも良い刺激になったと思いますし、私も楽しい時間を持つ事ができました。 ちなみに彼の住むベルギー北部の言葉はオランダ語でお互いの会話は英語でした。

 

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投稿日時:2020年2月18日(火)│
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