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杉錦 生酛純米八十八 発売

八十八web杉錦 生酛純米八十八 のご案内

2014.9

 

 毎度ありがとうございます。秋の日本酒シーズン向けの限定品として超辛口の生酛純米を発売いたします。

 この酒の麹米は70%精米ですが、掛米は飯米とおなじ90%程度の低精白米を使いました。日本酒度+16とエキス分を食い切らせた辛口酒です。低精白なので穀物を思わせるフレーバーがあります。30℃を超える室温で夏を越しました。糖分は少なく酸味と渋味が強いですが、その中から浮かんでくる甘味があります。現在の主流の飲みやすいタイプの純米酒とはかなり異なるタイプの酒です。つまみは味の濃いものや、油のあるものに合うと思います。燗は熱くすると辛くなりすぎるので、ぬるめがお勧めです。燗だけでなく室温での味わいも奥深いです。

 江戸、明治、大正時代は高精白のできる縦型精米機が存在しておらず、飯米程度の精米の米で酒を仕込むのが一般的でした。酛は生酛・山廃が普通で、木桶を使い、冷却設備も無いので醗酵温度が高く良く醗酵したようです。明治十年に東京帝国大学のロバート・キンチによっておこなわれた調査によると当時の酒は日本酒度が+17くらい、酸度は4~5で今の酒とくらべると大変な辛口であった事がわかります。今回の「八十八」は当時の酒に近いものを再現しようとしたものです。江戸の昔の素朴で飾り気は無いが、日本酒の本当に伝統的な造りをした純米酒に近いと言えます。日本酒の醸造は明治以降、精白を上げ、優良酵母を使った速醸酒母により飲みやすさを追求してきたのですが、「昔の酒には現代の酒とは異なる味わいの良さ、深さがあったのではないか?」という疑問がこの酒を造った理由です。誰にもお勧めできる味わいではないのですが、飲みつけると不思議と杯が進む味わいです。昔の人と同じく平杯でゆっくり味わってみてください。

 

 

投稿日時:2015年7月23日(木)│
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