そば焼酎の仕込
今年は蕎麦焼酎の仕込もやっています。こちらは静岡県小山町地区からの依頼で始めました。数年に一度しか仕込まないのですが、今年は静岡市のお蕎麦屋さん「たがた」さんから静岡市で栽培された在来蕎麦を使ってみてくれとの依頼がありました。
静岡市栽培の在来の蕎麦は焼酎製造に使うには量が少なく貴重品なので、1本単独の仕込にするのは断念して他のそば粉と混ぜて造る事になりました。
蕎麦焼酎というのは焼酎の中では新しいもので、本格的に造られるようになったのは戦後です。蕎麦焼酎大手の雲海酒造さんが開発した焼酎と言っていいようです。
醸造協会の「本格焼酎製造技術」を読んでもあんまり原料処理の記述がありません。
それで杉井酒造ではそば粉を麹を使って甘酒にして仕込む方法で造っています。そば粉を”はんぎれ”といわれる平べったいタンクに入れて麹エキス(酵素液)を使って大きなガスコンロで加熱して造ります。加熱の具合が大事で、失敗するとコゲたり”そばがき”状になってしまいます。
国産のそば粉は米と比べるとずいぶん高価です。普通のお米は1kgあたり200円程度です。米焼酎に使う米は等級検査に落ちた120円~150円程度のものが多いです。国産のそば粉は1kgあたり750円~1000円もします。酒米山田錦でも400円程度ですから非常に高価です。ですからお米のデンプンで一部補う必要があります。
こちらも醗酵は順調です。7月初旬に蒸留して10月には発売します。今までは小山町での限定発売でしたが、今年は別ブランドで他の地区でも販売してみます。