夏の設備投資
酒造業界ではここ数年政府の「ものつくり補助金」を利用して設備投資をしている会社がたくさんあります。
製造業にとって、良い商品を造ったり、生産性を改善したりするために設備投資は不可欠です。投資額の2/3の金額を賄って頂ける補助金を利用しない手はないのですが、生来ものぐさで煩わしい書類を作るのがめんどうに感じて応募した事はありませんでした。
昨年末にお付き合いのある業者から「応募書類や報告書を作成するコンサルタントと組んで応募しませんか?」と提案を頂き応募したところ、プロの書いた書類が秀逸だった事もあり25%の採択率にもかかわらず、補助金事業として認定して頂きました。
補助金で導入する事にしたのは ① アルコール分析が敏速正確にできる水蒸気蒸留器と振動密度計 ② 生酛・山廃酛の仕込と貯蔵に使う冷蔵庫 ③ 蒸米を吊り上げるモッコと蒸気の結露落下を防ぐ排煙ダクト の三つです。
三つとも現状の設備を使って仕事が出来ないわけではありませんが、より良い製造環境にする為に投資する事にしました。
三つの中で効果を一番期待しているのは、アルコール分析をする水蒸気蒸留器と振動密度計です。アルコール濃度は酒造りを管理するのに大事な指標です。
とくに生酛・山廃酒母では酒母の安全性を評価するために後半のアルコール濃度の測定が大事だと考えています。酒母は粘性が高く分析に使う濾液がたくさん採りにくいので、少量のサンプルで正確に分析できるとありがたいです。
またモロミ末期の醗酵が弱まった時期のアルコール濃度の変化はモロミの状態を判断するのに大事な情報ですが、今までの分析機ではデータのブレが大きく判断に迷う場面がよくありました。
新しい機械で正確な分析ができれば、より的確な判断ができるようになると思います。
機械類は6月より順次設置工事をして7月末にはほぼ完成しました。新しい設備は使い慣れていない導入時の使い方が大事なので、まずはそこに気を付けたいと思います。今年の造りでは新設備を有効利用してより良い酒造りを目指したいと思います。