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山廃純米酒、二年目の挑戦

 山廃純米は昨年の造りに、初挑戦で一本仕込みました。その酒が幸いにも雑誌[ダンチュウ]に取り上げてもらい、高く評価して頂きましたがまだまだ勉強中です。  今年は3本の山廃酒母を立ててみました。仕込み時の温度管理がおおまかでも、まず間違いなく出来上がる速醸酒母とは異なり、山廃酒母では初期にしっかり低温を維持しないと少し野生酵母が侵入して来るようです。  私の蔵も参加している「蔵元交流会」で昨年の夏に講義をされた永谷先生によれば、先生の若い頃の灘では野生酵母の作る酢酸エチル系の香りが「ぷ~ン」として、酸味のしっかりした山廃の酒が良しとされていたそうです。「今の時代も野生酵母の個性の出たワイルドな酒を造ってみたら面白いのではないか」と、提案して頂きました。  実際に山廃を何本かやってみたところ、図らずもそんな風味を少し感じさせる酒も何本か出来ました。おそらく、仕込み時の温度が少し高くて亜硝酸の消失が早かった為と思われます。  杉井酒造の山廃酒母は冷蔵庫の中で立てますが、冷蔵庫を使わなかった時代は今より気候が寒冷だったとしても、温度管理は難しく、永谷先生の言われた様な酒が多かったのも頷けるかなと思いました。  今年出荷します「山廃純米酒」は昨年の酒より味ののったタイプになりました。一回火入れで壜詰めしており、まだ新酒独特の生香や麹の風味が強いので熟成が進んでいた前回の酒とは雰囲気が異なります。山廃の酒としは、もう少し熟成した方が飲み頃だと思います。日本酒度は高くありませんが、山廃の酸味とコクがありますので甘味と辛みのバランスはよいと思います。  昨年の酵母は協会7号でしたが、今年は静岡NEW-5を試してみました。どちらが山廃の酒に適しているのかは、熟成が進まないと判断ができなと感じています。  前にも言ったのですが、山廃の酒を造ってみて洗練された吟醸酒と比べると、少しクセがある酒になり易いのですが、独特の力強さと飲み飽きしない酸味が有り、低迷ぎみの清酒業界を復活させる次の商材として大いに可能性を感じています。  今後、「生もと」を含め、経験を積んで技を磨いていきたいと思います。

投稿日時:2004年6月30日(水)│
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