生もと 山廃仕込みについて
昨年の末に静岡の山田錦60%の純米を生もとで仕込み、原酒の中取りを出荷しましたところクセのない酒質で、 静岡吟醸酵母のHD―1の香りもほどよく出て好評でした。同じく協会7号と玉栄の組み合わせの山廃純米も+6程度まで良く発酵しクセのない酒になりました。山廃仕込みを始めた頃は特に酒母ではヨ―グルトのようなジアセチル臭や酸敗したようなクセの強い臭いがかなりしたのですが不思議とそういう臭いが少なくなってしまいましたが、理由は解りません。環境中の菌が変化してくるのでしょうか。次期の酒造りではクセのない純米吟醸に挑戦してみようと思います。
一方昨年の造りでかなり糖分を残して発酵が止まり、酸も多くジアセチル臭がして失敗作だと思っていた純米酒は秋以降、熟成が進むと深い味わいとなりきれいな吟醸造りではできないコクのある酒になったと思います。この辺が生もと系酒母の造りのおもしろいところで今度は酵母無添加の山廃純米酒をやって見るつもりです。
なんとか山廃や生もと仕込みの酒もできるようになったのですが、これらの酒母では不可欠という事になっている亜硝酸反応は出たり出なかったり安定しません。 ただ亜硝酸反応が出なかった酒母でも優良酵母をたくさん添加するせいか発酵はまずは順調です。一方亜硝酸がしっかり出て発酵も旺盛だった酒母を用い、踊りもしっかり取ったのに後半の切れが悪くなるモロミもあります。その辺りをしっかり制御できるように更に経験を積みたいと思います。
今年は地元のグル―プが持ちこんだ山田錦の90%精白米を使った山廃純米も一本仕込みました。まだ壜詰めしてありませんが酸が2.4ほどで日本酒度は+2で締まりのある味です。この酒はほぼ明治初期の造りと同じ原料を使った事になり秋以降どんな味になるか見ものです。
平成16年5月現在販売している山廃 生もとの酒は2種類です。
– 玉栄 山廃純米 –
日本酒度: | +6 |
酵母: | 協会7号 |
酸 度: | 1.7 |
アルコ―ル: | 15.6度 |
原料米: | 玉 栄60%精米 |
希望小売価格: | 1,800ml : 2,520円(税込み) |
720ml : 1,365円(税込み) |
上記は現在出荷している酒の成分でかなりすっきりした印象の辛口です。秋口からは少しエキス分のある、味の のった酒を出します。
– 山田錦 生もと特別純米 –
日本酒度: | +6 |
酵母: | 静岡HD―1 |
酸 度: | 1.6 |
アルコ―ル: | 15.6度 |
原料米: | 山田錦 60%精米 |
希望小売価格: | 1,800ml : 2,630円(税込み) |
720ml : 1,470円(税込み) |
玉栄山廃と較べると少し酸味がおだやかで、味の幅がある感じがします。山田錦と玉栄の違いがでているのではないかと思います。