菩提酛の仕込をやっています。1
菩提酛は7年前より小さい仕込を毎年1本ずつやり続けており、今年は1000kg仕込を1本仕込ます。菩提酛を使って三段仕込のモロミを立てます。
生酛、山廃酛は一時本当に少なくなってしまいましたが、酒造の教科書には多くのページを割いて記述があります。菩提酛は戦前にほとんど絶滅したらしく、現代の教科書には解説すらありません。
「菊姫」さんが復刻出版した昔の酒造教科書シリーズの一冊「杜氏醸造要訣」(江田鎌次郎著)に詳しい記述がありこれを読んで「やってみよう!」と思い立って始めました。
菩提酛造りは一時、奈良県内の一社のみが、神事につかう「にごり酒」を造るために立てていただけであったようです。
奈良県では1999年より菩提山 正歴寺の境内で立てた菩提酛を奈良県内の蔵元に分けて運び、菩提酛造りを復活醸造しています。現在は10蔵ほどが継続しているようです。
奈良県以外で菩提酛を立てる蔵は現在のところ五本の指で余る数のようです。また菩提酛での醸造は酸敗のリスクが高く、安全のため、途中に火入れ工程を入れたり、モロミは立てずに酛をそのまま製品にしたりする場合があります。
自社の蔵内で古来のやり方で菩提酛を立て、これを使ったモロミで清酒を造っている蔵は弊社を入れて二社程度かもしれません。数は確かではありませんが、菩提酛はそれくらい数が少なくなってしまった醸造方法です。