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菩提酛の仕込をやっています2

IMG_1423 菩提酛は生酛の原型といわれ、奈良、室町時代には方法が定まっていたようです。生酛・山廃酛が酛の仕込初期に厳冬の低温がないと経過が順調に進まないのに対して、秋、春の比較的気温の高い時期の醸造に向きます。

 糖質を低い濃度含んだ水に、まず乳酸菌を生やし、その後、酵母菌の繁殖を誘導する方法は、穀物より酒を造る方法として、中国の「ショウ」といわれる造りかたや、ベルギーのランビックといわれる自然発酵ビールの方法とよく似ています。

 仕込に先立ち、生米を洗って桶にいれ水を二倍くらいの量いれます。ここに炊いたご飯と麹を袋に入れて一緒に漬けます。ご飯は溶けて乳酸菌の栄養源になります。生米には少し糖化酵素があり、ご飯の糖化を促進します。また水に何日も漬けた生米は、その後仕込のとき蒸すと軟らかくなり、よく溶けます。麹も糖化酵素の供給源、乳酸菌、酵母の栄養源とになります。

 あとは放置しておきます。水に漬けたご飯は腐ってしまいそうですが、乳酸菌が繁殖して水はさわやかな酸味が生じ、末期には酵母菌も生えてきます。臭いも古くなったご飯程度の臭いで悪臭にはなりません。

 但し、これは上手にできた場合で、温度が高いと腐敗臭になってしまいます。コツは比較的低温で日数をかけて造る事のようです。

 こうして出来上がるのが「そやし水」で乳酸と乳酸菌、酵母菌、たぶんその他の雑菌も少し含んでいます。

 漬けておいた生米は取り出して、水洗いして蒸します。これに麹と「そやし水」を再び合わせれば「菩提酛」の仕込が完了します。

 乳酸菌をはじめとする雑菌を大量に含んだ水で酛を仕込むというのは、できるだけ清潔で他の微生物を排除した環境で乳酸と純粋培養酵母菌で仕込をする現代の「速醸酛」の仕込と比べると、全く不衛生な方法という事になります。速醸酛でも麹にはいろいろ雑菌がいると考えられますが、数が全く事なります。

 じっさい菩提酛ではそやし水由来の乳酸菌類がモロミでも繁殖してモロミを酸敗させるリスクが生酛・山廃より高くあります。その為、乳酸と純粋培養酵母を添加する「速醸酒母」の発明とともに菩提酛は姿を消していきました。

 

投稿日時:2016年3月11日(金)│