静岡県清酒鑑評会
今年の静岡県清酒鑑評会は、昨年と同じ審査方針と方法で行われました。審査員を努められた松崎晴男さんによりますと、上位4社の酒で競った決審は、大変な接戦でなかなか優劣をつける事ができなかったとの事でした。
静岡県の清酒鑑評会は、前に説明しましたように9号系の酵母の酒で競うので、入賞酒のカプロン酸エチルは多くても3PPM代の後半で、香りが高ければ上位入賞というわけにいかないのが、出品する側からみて難しいところです。一般公開では順位別に酒が並んでいますが、そこできき酒すると、先入観もあるのかもしれませんが、上位4社のなかでもトップの忠正は、カプロン酸エチルではない含み香が特に豊かですばらしい酒だと思いました。杉錦は吟醸の部で千寿と同点の5位入賞、純米の部で4位入賞することができました。
昨年はカプロン酸エチルの高いM310の酒を、10%ブレンドして入賞を逃したので、今年は静岡酵母のHD-1単独の酒で臨みました。純米の部は同じく、静岡NEW-5とHD-1のブレンドで出品しました。
種麹には、昨年と同じく樋口HiGという、グルコアミラーゼを高生産する菌を使いました。これを使うと平均値で、グルコアミラーゼが200単位、αアミラーゼが400単位と、極めてツキハゼ型の麹ができます。
今年は、この麹とHD-1酵母で静岡県の上位入賞、またM310酵母と組み合わせて名古屋国税局鑑評会、吟醸の部2位入賞。全国鑑評会で金賞の成績を上げる事ができたので、この麹はまずまず合格点だとは思います。しかし、M310酵母を使った酒でも全国鑑評会のきき酒にいきますと、さらに深い感じの香りのする酒がありました。樋口HiGのような特殊な菌を使わなくても、素晴らしい酒を造っている杜氏さんがいらっしゃいますので、麹つくりはまだまだ勉強していきたいと思います。