奈良 京都 日本酒 所縁の地を巡ってきました。
「静岡地酒研究会」の鈴木真弓さんからお誘いを受けて、奈良 京都の日本酒所縁の地を訪ねる旅行にいってきました。 醸造関連の著作が多い藤田千恵子さんをはじめ、ホテル 飲食関係の方々、日本酒ファン、初亀の橋本社長など総勢13名で2日かけて 奈良の久保本家、お酒の神様 大神神社(三輪明神)、菩提酛発祥の地 菩提山 正歴寺、京都 松尾大社 の他 酬恩庵一休寺などを巡ってきました。皆さんと飲んだり食べたりおしゃべりしながらの楽しい旅ができました。
私の蔵にも神棚がありますが、普段酒造りをするについてはあんまりこれらの神様の事を意識してはいません。しかし今回、由緒ある神社仏閣をまわってみると、その大きさ迫力に日本の歴史、自然の力のようなものの一端に触れる事ができたと思います。
酒造業は家業として、食い扶持を稼ぐためにやっているわけですが、どの醸造家の背後にも二千年の日本の歴史、酒造りの伝統があると思いました。
酒造りは現代の科学によってそのメカニズムが解明され、技術的なテクニックによってより良い味わいを目指しています。微生物の存在や化学の知識の無かった時代は酒造りは本当に神頼みで神秘的な事だったと思います。
現代の酒造りでは人為的なデザイン、コントロールをしながら酒を造りますが、やはり酒造りは完全なコントロールが難しい事には変わりがありません。特に「生酛・山廃・菩提酛」などの酒造りではそれを感じます。また熟成による味わいの深まりなどにも自然の力が感じられます。
ニッカの竹鶴正孝も「ウイスキーは自然の力によってはぐくまれる」といったような事を言っていたと思います。
酒造りに臨んでは、その神秘性や厳かさを感じる感性を大事にしたいと改めて感じました。