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2021BY きんの介 初搾り 発売

  今季造りの新酒第1号として今年も表題のお酒2品を発売したします。

ここ3年ほど生酛酒母の仕込み後に現れる、亜硝酸反応を確実に出すための仕込み条件を確定しようと実験を行っております。亜硝酸反応により生じる亜硝酸は雑菌効果があります。実際はこの反応が起こらない事も多く、それによって酒質が変化するかどうかもよくわかっておりませんので、それらの真偽を知るために実験をしています。

亜硝酸反応を出す硝酸還元菌は、乳酸菌が働き始めて酸性状態を作り出すと活動が止まってしまいます。そこで今年は乳酸菌の働きを遅らせる為に、「打瀬」という仕込んだ後低温に放置しておく期間を長くとり、「暖気樽」による加温操作も控えめにして酸の生成を遅らせるように操作してみました。

  結果として仮説通り乳酸菌の働きは遅くなり、亜硝酸反応は現れましたが、一方で酵母菌が働き始めるタイミングで乳酸の生成が少ないという予想外の事が起きました。きんの介は生酛らしい複雑で重厚な味わいがある酒を目指していましたが、今年は去年よりも少し軽めな味わいになることが予想されます。

 この実験で硝酸還元菌、乳酸菌、酵母の働くタイミング、バランスを絶妙にとる事で成り立っている生酛造りの巧妙さを改めて認識する事になりました。

  ここ数年の「きんの介」は粕歩合が30%強と少な目で、アルコール濃度が高くなる事で日本酒度が切れていく、典型的な生酛型のモロミ経過でしたが、今年のモロミは掛け蒸米がやや硬めで溶けが少なく粕歩合が高めで、アルコール濃度はそれほど高くない静岡酒型のモロミ経過です。7号酵母的な澄んだ香りで、酸も少な目の現代的な酒質になりそうです。

  11月18日頃の発売を予定してモロミは終盤にさしかかっています。今年のお酒もよろしくお願いいたします。 なお12月には誉富士にごり酒の発売を予定しています。

 

生酛純米中取り原酒きんの介                           生酛純米初しぼり

 共通データ  酵母:協会701号 麹米:玉栄70%精米 掛米:国産米70%精米

 発売予定日 11月18日                           発売予定日 11月25日

            予定成分                                                        予定成分

            日本酒度 +9                       日本酒度 +9

    酸  度 1.8                      酸  度1.4

    アルコール17.8%               アルコール15.5%

              希望小売価格                      希望小売価格

     (10%税込)                     (10%税込)

    2,640円/ 1.8L                         2,420円/1.8L

    1,430円/0.72L                         1,210円/0.72L

きんの介写真2020BYweb用

 

 

投稿日時:2021年11月3日(水)│
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